猫さんロードと裏猫日記

猫を通じて生き方を学んだり

施設のお年寄り残りの人生を如何に生きるのかスタート地点にして欲しい

僕は介護職でもなければ研修を受けたスタッフでもない、ただのアルバイトに

過ぎないけれど大切にしているものがある。

それは思いやりと優しさです。

この二つの心は研修や教育で得られるものではないと思っています。

研修や教育で得られるものはノウハウであり、心そのものは

その人が持ち合わせたものしかありません。

入居者に対しての接し方などのマニュアルもノウハウの一つに過ぎません。

心と言うものは伝わるか伝わらないかで受け取る側が決めるものなので

職場の方針などとは関係ありません。

 

僕は素のままの自分で接するだけです。

書かれたような接し方など紙くずに等しい。

言葉遣いも同様に素のままです。

決められたような言い回しなど出来ません。

対応も同じく素のままです。

そんな事言っちゃダメですよのようなノウハウなど身に付けてはいません。

お年寄りがどう捉えてくれるのか、伝わるのかが大切なのです。

 

どの施設も良い施設として認識して頂きたための教育であり

良い施設として認識して頂きたいためのサービスを目指しています。

それはちょっと違うんじゃない?

言葉遣いの後ろにある心を先に養った方がいいよ。

作り笑顔や良い言葉は教育で作れるかも知れないけれど

心は作る事は難しいよ。

 

家族と言うものは本来、利害抜きで献身なんです。

それは長年家族で培った心があるからです。

そう言う心が無いといくら教育しても虐待や物扱いするだけです。

職場が厳しければ厳しい程それは助長されると僕は考えています。

そこに資格と言う壁もあります。

 

施設に入居しているお年寄りは色々複雑な思いがあります。

認知症の方も居ます。

扱い方のノウハウあるようです、僕には関係ないけどね

そんなノウハウ知っていてもそれに見合った心を持ち合わせていない

経営者や職員ってのが一般的ではないではないでしょうか?

虐待の本質はそこにありです。

 

昨日も一人のお年寄りが「もう生きていてもしょうがないもうダメです

夕食も食べに降りる事が出来ない、動けないので夕食を持って来て下さい」

との伝言が職員からありました。

夜勤はここから始まります。

職員が帰った後は僕一人になります。

このお年寄りは鬱なのかこう言う事が繰り返されます。

 

職員が帰った後、説得に行きました。

お年寄りは「もうダメです、生きていてもしょうがない、歩く事も出来ない、

夕食に下りられない、持って来て下さい」と

半泣きでした。

僕は言いました。

「生きていてもしょうがないのなら夕食を持って来させるな、明日からの食事は

全てキャンセルしろ、下でまっとるけん」と突き放しました。

もちろんこう言う言い方はタブーです。

この接し方は僕流でもあるし、それだけ日ごろお年寄りの性格や気持ちを

知っているからこその対応です。

この言葉の後ろに思いやりと優しさがちゃんとあります。

それが伝われば良しです。

職員や他の宿直員が使わないような言葉を度々使います。

それが許されなければ解雇すれば済む事だし、大した事はありません。

 

僕の大切なものは「心」なのです。

時間はかかるけれど接し方のノウハウよりは断然上を行くはずです。

過去認知のおばあちゃん、言う事を聞かず着替えなども抵抗して

ヘルパーさん等が言う事を聞かないと言って困っていましたが

僕に対してそのおばあちゃん一度も逆らった事がありませんでした。

「心」と言うものは見えません。伝わるか伝わらないか

感じるか感じないかです。

着替えなど僕はよく頼まれていました。

また何故僕の言う事はよく聞くのだろう?と不思議がっていました。

あまり扱いが難しくなり、家族と協議して他の施設へ移ったようです。

僕から見ればおとなしい冗談も通じる優しいおばあちゃんでしかありません。

 

昨日のお年寄りもちゃんと夕食に降りて来ました。

下りて来てくれてありがとう、僕が嬉しいと肩を叩いて

まだまだこれからですよしっかり生きて行くのはねって言うと

照れくさそうにニコニコしていました。

 

僕にとって入居者は利害関係の相手ではありません

ちょっとした家族の一人です、笑顔で一日でも楽しい時間を

過ごして欲しいだけです。

元気な姿を少しでも長く見ていたいもんね。

その為には怒鳴ったりする事も有りますが、きっと伝わると信じています。

生きる力を持って欲しいのです。

 

それぞれ複雑な思いで入居し

ここから新しい人生を初めて欲しい

終わった人生から沈んで行って欲しくないです。

家族もまた、複雑な思いで入居させたはずだし、それを身に染みて

感じているお年寄りたち、残りの人生無駄にしないでね。