猫さんロードと裏猫日記

猫を通じて生き方を学んだり

彼女の最後の言葉 触れられるのが嫌なだけ

このブログに来てこれから書く記事を書いた事があるのかどうか定かでは

ありませんが書いて見たいと思います。

もう35年か36年前の事です。

仕事はトラックで特定の会社の荷を運んで居た時の事です。

その特定の会社に高卒で入社した女の子が居たんです。

この会社は近々移転する事になりその移転先に勤める予定で

面接を受けたようでした。

採用される事なりにかなり遠い所から通勤する事になったんですね

と言っても移転するまでの期間が遠いだけで移転すれば地元なので

通勤は楽になりますね。

物語はここから始まるわけです。

彼女は乗り換え乗り換えながら遠い通勤をしていましたが

ある時トラックで走っていると電車から降りて歩いて居るところを見かけ

積み込みに行くついでだからと乗せてあげたんですね。

田舎育ちで素朴な彼女は会社の雰囲気に馴染めず心細かったのでしょうね

僕に昼はどうしているのかと聞いて来たので通勤するマイカーの中で

昼食とって休憩しているよと返すと今度行ってもいいですか?

どうせの会社の横なんだからと答えました。

翌日から毎日昼食後は僕のマイカーの中で休憩するようになりました。

馴染めない環境の中、僕が会社まで乗せて行った事で他に落ち着けるところが

無かったのだと思います。

移転する頃には凄く仲の良い二人になっていました。

 

さて移転してからはどうかと言うと僕にべったりでした

不思議なくらい息が合いはた目から見てもきっと普通ではない感じだったと

思います。

朝礼時、事務職は僕らの前に並びこちらを向いているのですが

何故か彼女だけはいつも僕の隣に居ました。

その時いつも僕の腕に彼女の感触が感じる距離でした。

それ自体が目立つ存在になるし、休憩時も彼女はいつも僕の隣しか

座る事はありませんでした。

僕は昼食もみんなとは食べる事は無く工場の奥に自分の居場所を作り

そこへ事務机を置いて一人で食べて居ました。

彼女は昼食が終わると必ず僕の居る場所へ来るのでした。

 

素朴な彼女ゆえ一番最初に言葉をかけた僕にすがるような

心模様だったのだと思います。

車内で男子に色々誘われるけれど行きたくない

でもいつも断るのは悪いからと悩んで居たりです。

後にある男子社員が言っていました。

彼女は誘っても中々来ないし僕にべったりだから

みんな誘いにくいとも言っていました。

 

僕は妻帯者でもあり不倫などするような気持ちは全くありません

ただ意気投合したその彼女の事は大好きでした。

妻帯者だから好きになってはいけないなんて事はないです

いくらでも好きになれる人はいます。

もちろん妻にはどんな子かは話しています。

 

男子社員が誘っても来ないのですが

僕が誘うと必ず頷きますいつも笑顔で‥‥

その光景を男子社員はよく見ています

誘うだけでプライベートで行った事は一度もないし、誘う時は

もし行くとしたら家族が一緒だよといつも言っていました。

それでも彼女は嬉しそうに「うん」と答えるだけです。

たった一度だけ男子社員達と魚釣りに行った事があります

それも僕が誘えば来るとの事で誘ったのです。

 

休憩時間はいつも僕の隣には彼女が居て

どのグループにも属していのいので会話も二人だけって流れでした。

僕も彼女は好きだけどきっと彼女も僕には心を許していて

以心伝心伝わるものが感じられました。

時に車ですれ違っても僕は彼女はUターンして戻って来そうと

思いしばらく走った後、停車し待つこともありました。

そんな時、来そうな気配があったので待って居たと言うと

思いが叶ったと喜んでいたものです。

 

彼女が入社して2年目 成人式の日

事務所を素通りして一番に晴れ姿を見せに来たのも僕の所でした

また僕の誕生日の日、男子社員が誕生祝いだと

仕事が終わり喫茶店に行った時も彼女はそれを聞きつけ

茶店までお祝いに来てくれた事も印象に残ります。

いつも以心伝心で感じていた心でしたが

ある時を境に以心伝心遠くなって行くのがわかりました

それが何故だかは未だ謎であります。

 

彼女の最後の言葉は 

 

嫌いってわけじゃないの

ただ触れられるのが嫌なだけ

 

その後、その後、僕は懲戒解雇と言う形で退社する事になりました。

君は諸悪の根源だ

懲戒解雇に値するとね。

 

あの彼女はあれからどう云う人生を辿ったのだろう?

幸せになってくれていればいいが

素朴な彼女と純粋な僕は意気投合し

言葉なくても隣にいるだけで良かった位の存在でしたが

そこに魔が入り込んだのは何だったんだろう?

 

奇しくも以心伝心で距離が遠くなり始めたのは

二人だけの休憩時に

複数が入り込んでグループと化した時からでした

二人の時は黙ったままの時間も会話する時間も

以心伝心で何もなかったのだが

グループとなりその空間が壊れた事かも知れないですね

同じ無言でも二人の時は心が繋がっていたと思います。

グループになってからの無言はお互い針のムシロだったと思います。

僕がそうであったように彼女も針のムシロだったのでしょう。

 

触れられるのが嫌なだけ‥‥

いつも触れて居たのは君の方だったよね

僕は一体、何に触れたのだろう?