僕の時代はまだ真空管の時代だった、トランジスタと言う言葉と共に音の世界も
変わって行きましたが、人間の耳は良くしたもので順応すると言うか馴れと言うものが
あり、移り変わりの音への違和感も薄れていくようだ。
先ず僕らが音楽を聴いた時代のステレオは
こんな感じのものが出始めた頃は思春期だった。
アンプ、チューナー、ターンテーブル(レコードを乗せる部分)の一体型です。
当時のこの手のステレオは何故かリバーブと言う機能がついていました。
裏から覗くとスプリングコイルのようなものがあり、これが振動して
音を響かせるような仕組みで、当時のギターアンプに採用されていたものと
同じだった。
そして次に登場したのがセパレート型
青春時代はこれが主体でステレオと言えばこれの事くらいに言葉も流通していた
アンプ、ラジオチューナー、ターンテーブルが一体でオプションでオープンリールデッキ
と言うものだった。
最初のステレオからスピーカーが分離されたわけですね。
その後、今度はアンブ部、チューナー部、ターンテーブル部も分離され
コンポステレオ→ミニコンポへと向かう事になります。
真空管からトランジスタへと移りレコードからCD、MDへとメディアがコンパクトに
なるごとに小型化、MP3プレーヤーなど更に小型へと向かいましたが、
昔の音を聴いた僕らの世代は、当時の大型のステレオの臨場感は
忘れられないと思います。
これはミニコンポなどでは感じられない肌で感じる音かもしれないです。
また、レコードからCDへ移った時もCDは雑音もなく、洗練された音だけど
物足りないものを感じました。
それは恐らくカットされた音、つまり人の耳に聞こえない周波数をカット
した事で感じる物だと思います。
聴こえない音をカットならいいじゃないかと思うかも知れませんが
そこには聞こえないけれど感じる音が存在するのだと思います。
数字だと1~2の間に無限の数字が存在するのだけれど
使うのはせいぜい小数点以下ひとつふたつ
お金ならそれは必要ないから1.126円なんて無駄な数字だから
一円だけで済む、カットされた部分の音が存在するようなものかもね。
音の世界は微妙です。
当時のステレオで同じ曲を45回転のEP盤はやはり音が豊かで
33回転のLP盤は貧弱だったし、オープンリールデッキから
カセットに移行した時の落胆は大きかった。
低音なんてまともに再生出来てないじゃないか、嘘だろ?
こんな感じでしたが、聞いている内に慣れるもんですね
それがそこそこ当たり前に聞こえてくる。
肥えた耳が痩せてくるのかな?
コンポの時代はみんなお金つぎ込んだと思います。
マニアックな人は恐らく100万とか金かけた人がざらにいたのではないでしょうか。
僕ら庶民派だって、その当時のセパレートコンポは
10万下らなかったから、ステレオと言えばドカーンとデカいスピーカーが
部屋を占領していました。
音は豊でしたよ、ミニコンポなどと違い臨場感や耳障りはとても良かったです。
同じ20Wでも30センチ以上のスピーカーの音と15センチ以下じゃ
全然体感する音の豊かさは違っていたなあ。
また当時のコンポ機械部が分離されると単体でも数万
少し上位機種だと10万超えるので。チューナーは別としても
デッキ部、アンプ部、ターンテーブルだけでも20万は軽く行ってしまう。
もうそんな音の時代は通り過ぎたので、今は一番良い時代かも知れません。
そこそこの価格でそこそこの音でそれなりに満足出来る時代にも思えます。